紅の葬送曲
ふと、寿永隊長は呆れたような目で私を見た。
「別に服装なんてどうでも良いだろ。寿永の家って言っても普通の家と変わらないんだ」
この家の大きさで変わらないと……?
もうこの人の普通が分からない。
返答するのも疲れて何も言わずにいると、彼は門柱の傍のモニターのボタンを押した。
「ちょっ……寿永隊長!?」
「何だ?」
「私の話聞いてました!?帰って良いですか!?」
「駄目だと言ったはずだ。帰るなら減給にしてやる」
「職権濫用!」
そんなやり取りをしていると、門が開いて一人の男の人が出てきた。
燕尾服をしているけど服装を見る限り執事の人らしい。
「お帰りなさいませ、凌様」
寿永隊長の姿に、その人は深々と頭を下げる。