紅の葬送曲


「父を殺しておいて、どの面下げて──」





「汀……、お前は部屋に戻れ」




寿永隊長が諭すように言うと汀様は私を睨み、その場からいなくなってしまった。





あ、そうか……。




汀様の目に感じた違和感。




それは雨宮さんの視線と同じだったんだ。





彼は犯罪者の娘として、親の仇として私を見ていたんだ。




「弟が済まないな……。父さんが死んだのはアイツがまだ2歳の時だったんだ」





申し訳なさそうに眉を下げる寿永隊長に、私は首を振ることしか出来なかった。




別に彼が悪い訳じゃない。




でも、ショックだった。





私はやっぱり──。





すると、寿永隊長は私の手を掴んだ。




「……雨宮、あの人は書斎か?」




「左様でございます」




「そうか。行くぞ」




彼は雨宮さんをその場に残して私の手を引くと、屋敷の中を進んでいく。






「寿永隊長、歩くの速いです!」




ずんずんと歩く寿永隊長は怒っているのか大股で廊下を歩いている。




何で怒ってるの?





私は足を縺れさせながらも彼についていくと、とある部屋の前で足を止めた。





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