紅の葬送曲
寿永隊長は母親に対する怒りなのか、爆弾の処理を悩んでなのか肩を震わせている。
──決めた。
私は握りしめていた手を開くと、深く息を吐いた。
「寿永隊長、私に考えがあります」
「何だ?無意味な殺人を犯すつもりなら俺がお前を殺すぞ」
「いいえ、殺しません。私が死なせません」
彼女が死ぬ必要なんかない。
死ぬのは──。
「……言ってみろ」
寿永隊長に考えがあるかもしれない。
でも、それは多分私が考えていることと同じだと思う。
彼にはやらせない。
これをやるのは私が一番相応しい。
「この爆弾を外した後、私が爆弾を持って外に出ます」
──死ぬのは望まれない命を持っている私で良い。