紅の葬送曲
「ご、ごめんなさい……っ!」
私は叩かれてポカンとする彼に頭を下げると、一目散にその場から走り去った。
「べ、紅緒!?待ちなさいよー!」
後ろから京の呼び止める声がする。
でも、立ち止まらず振り返らず走った。
入職初日にやってしまった。
よりにもよって、あの寿永家の御曹司に平手打ちを食らわせてしまった。
あぁ、私、絶対クビだ……。
っていうか日本にいられるかな……?
天国のお父さん。
紅緒はとんでもないことをやらかしてしまいました……。