紅の葬送曲
Ⅲ
「お前、何言ってるんだ?これは外したら爆発する仕掛けだって言ったよな?」
寿永隊長は私が言った言葉に、怒りを露に私の胸ぐらを掴んだ。
「分かってます。ですが、このままでは彼女もこの場にいる私達も無事では済みません。なら、私が爆弾を──」
「だからって何故お前がやる必要がある!?」
目の前で怒鳴られていつもなら怖じ気づいて引くところだけど、今日は引くつもりはない。
「私が一番相応しいからです」
「答えになってない!何故お前が──っ!?」
彼は私の考えが分かったのか、目を見開いた。
「……お前、死ぬつもりか?」
微かに彼の声が震えている。
私自身死ぬつもりはない。
でも、死を伴う可能性があるなら私がやる。
「寿永隊長……、私にやらせてください」
こんなことをしている間にも爆弾の時間は刻々と過ぎていっている。
それなのに、彼は私にやれと言ってくれない。
……認めてくれないなら強行手段だ。
私は立ち上がるとメイドの手を掴むと、窓際へと連れていく。