紅の葬送曲
「おい……ッ!俺は認めてないぞ!?」
後ろから寿永隊長の怒鳴り声が聞こえたけど、私は無視して突き進む。
「窓際から離れてください!」
呆然と立ち尽くしている汀様にそう言って、私はベランダへ続く窓を開けた。
「私は……死ぬんですか……?」
涙でグシャグシャの彼女に、笑えてるか分からないけど笑顔を向ける。
「私が死なせませんよ。……良いですか?私がこれを外したらすぐにそのデスクの影に隠れてください」
彼女を室内に残し、私はベランダに出て爆弾に手をかける。
デスクの影に隠れれば、爆風や割れたガラスから体を守れるはずだ。
「そしたら、貴女が──」
「大丈夫ですよ、私も爆弾を空に投げたら中に戻りますから」
……戻れるか分からないけど、そう言わないと彼女は頷かないだろう。
多分、この人も優しい人だから自分のせいで誰かが死ぬのは許せない人だ。
「分かり……ました……」
彼女は頷くと、涙を拭った。
よし、やるか……。