紅の葬送曲
でも、一つ言えることがある。
「実はずっと隠してたことがあります」
「……隠してたこと?」
「父の葬儀の記憶が無いんです。気付いたら父は火葬されていて、周囲からは殉職したと言われたんです」
その時期は私がお父さんの養女だったと知り、反抗していた頃で京の家にしばらく泊めてもらっていた。
そんな時にお父さんが死んだと聞かされ、
気付いた時にはお父さんの葬儀が終わっていた。
お父さんが急に死んでしまい、反抗したまま死に別れてしまったショックでその記憶が抜け落ちてしまったのだと自分に言い聞かせたいた。
すると、その話を聞いた寿永隊長は怪訝そうな顔をする。
「……つまり、お前は度々記憶を無くしていたということか」
彼の問いに私は頷く以外に出来なかった。
記憶を無くしてはふいに頭痛を伴って思い出す。
そんなことがあるのかと思ってしまうが、実際この身に起きている。
信じたくないけど、信じるしかない。