紅の葬送曲


「人の記憶を消すなんて非科学的なことなんか出来る?」




小鳥遊君は顎に手を当て険しい顔をしながら寿永隊長の方を見た。






「どうだろうな。だが、奴なら出来るかもしれないな」




「奴?」




どうやら、寿永隊長には心当たりがあるらしい。





「切碕の仲間……今は紅斗の仲間だが、安倍明晴。かの有名な安倍晴明のDNAから作られた人間だ。陰陽師の力が使える奴なら記憶操作は出来るはずだ」




安倍明晴って確か獣耳の人だよね?




「消されてるのかもしれないけど、私はあの人と会った記憶なんか無いですよ?」





安倍明晴が記憶消すことが出来たならお父さんと何らかの関係を持っている。





──まさか……。




「安倍明晴がお父さんだった……とか……?」




思っていたことを口にしてしまった私に、寿永隊長と小鳥遊君の視線が向けられた。





二人共私の言葉に怖い顔をする。





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