紅の葬送曲
「江からも何か言ってやって。アンタなら考えてること分かってるでしょ」
「えー、姉さんだって気付いてるクセに。それに、俺は何も言わないよ。凌が初対面の女の子に興味持つなんて新鮮じゃない」
初対面……か……。
目の前の姉弟の会話に、自然と口角が持ち上がった。
「……彼女が初対面と思っているなら初対面を突き通そうかな」
「「え?」」
江と菖はそっくりな顔で同じ表情をして、俺を見た。
そんな二人の姿を見つつ、俺は椅子から立ち上がって脱いでいた上着に袖を通した。
そして、出入り口であるドアに向かって歩き出す。
「ちょっと凌!何処に行くの!?」
江と菖は慌てて俺を追いかけてくる。