紅の葬送曲


「い、いや……今のは冗談と言いますか……勘と言いますか……」




二人に怖い顔で睨まれた私はしどろもどろになってしまう。





そして、小鳥遊君はその顔のまま私に近付いてきて肩を掴んできた。





「浅井ちゃん、ナイス!」





「へ?」





言われている意味が分からなくて寿永隊長を見た。




でも、寿永隊長はスマホを取り出すと何処かへ電話を掛けていた。




「お久し振りです、凌です。……ええ、代わり無いです。急で申し訳ありませんが、俺の頼みを聞いてもらえますか?」




電話の相手は誰かは分からない。




聞こえてくる声からして話しているのは女の人の声だ。





「藤邦の旧研究所で行っていた人体実験で生まれた人間のDNAサンプルってまだありますか?」




DNAサンプル?




そんなものなにに使うんだろう?






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