紅の葬送曲
ナイスと言われたものの、私は全然状況が分からない。
でも、寿永隊長が電話してる相手は恐らく藤邦の当主──藤邦アリスさんだと思う。
「──詳しくは追ってメールで伝えます。こちらからもそれに必要なものは送りますので……。はい、よろしくお願いいたします、アリスさん」
寿永隊長は電話を切ると、私の方を見た。
「お前の今の一言で全てが繋がりそうだ。……よく思い付いたな、よくやった」
そして、頭をがしがしと撫でてきた。
褒められた……、嬉しい……。
でも、何でこうさ……。
「あの、一つ言わせて頂きたいんですけど」
「?」
「私、一応年上なんですけど。一つとはいえ年下にこんなことをされるとむず痒いと言いますか……」
寿永隊長といい、小鳥遊君といい、何で年上相手にこんなことが出来るのかな?
私だったら無理だわ。
「ククク……、何を言い出すかと思えば……」
すると、寿永隊長は肩を震わせて笑い始める。