紅の葬送曲


何で笑うの?




笑う理由が分からなくて頭を傾げると、少し離れた所に移動していた小鳥遊君は苦笑いを浮かべていた。






「俺にも同じ事を言ってたね、浅井ちゃん。……無自覚って怖いわー」





「へ?」




「いや、こいつは無自覚なんじゃない。単に鈍感なだけだ」





二人がそんな会話をしているけど、私には意味が分からない。





でも、何となくさっきは褒められていたけど、今は貶されている気がする。




「いや、凌に鈍感って言われたら世も末だよ」




「……どういう意味だ、江?」




話題が逸れてきてるけど、良いか……。




私は二人から視線を外すと、手元の手紙に視線を落とした。





この手紙は結局誰からなんだろう?




お父さんと間違うくらいの愛情を私に向けてくれる人なんて……。





まさか……いや、そんなわけない。





脳裏に一人浮かんだけど、私は否定したかった。





その浮かんだ人物は私を殺人鬼に落とそうとしている双子の兄だったから──。





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