紅の葬送曲
「ハイハイ、どなたですかー?」
寿永隊長探しを邪魔され、半ばやけくそになりつつある私はオートロックのドアを開けた。
そこには燕尾服を着た男の人が悠然と立っていた。
うわ、寿永隊長に勝るとも劣らない美形……。
某執事漫画の執事だよ、この人……。
私は目の前の美形の男の人に見惚れていると、彼はにっこりと笑った。
「お忙しい所申し訳ありません。私、蓬條家の執事をしております、玖下摂紀と申します。寿永凌様はいらっしゃいますか?」
声もすっごいイケメン、イケメンは声までイケメンなの!?
内心興奮しているせいか、私は彼の問いが耳に入っていない。
すると、後ろから何かで軽く叩かれた。
「たっ!?」
「こんな所で何してる、浅井?」
聞き慣れた声に、私は後ろを振り返った。