紅の葬送曲


「ハイハイ、どなたですかー?」




寿永隊長探しを邪魔され、半ばやけくそになりつつある私はオートロックのドアを開けた。





そこには燕尾服を着た男の人が悠然と立っていた。





うわ、寿永隊長に勝るとも劣らない美形……。




某執事漫画の執事だよ、この人……。




私は目の前の美形の男の人に見惚れていると、彼はにっこりと笑った。




「お忙しい所申し訳ありません。私、蓬條家の執事をしております、玖下摂紀と申します。寿永凌様はいらっしゃいますか?」





声もすっごいイケメン、イケメンは声までイケメンなの!?




内心興奮しているせいか、私は彼の問いが耳に入っていない。




すると、後ろから何かで軽く叩かれた。





「たっ!?」




「こんな所で何してる、浅井?」




聞き慣れた声に、私は後ろを振り返った。





< 257 / 541 >

この作品をシェア

pagetop