紅の葬送曲


「寿永隊長!やっと見つけた!」




そこにいたのは丸めた書類を肩に乗せた寿永隊長で、私の大声に顔をしかめた。





「騒々しいな。お茶はどうした?」





「淹れましたよ!淹れたのに、執務室にいなかったのは貴方でしょう!?そして、貴方に来客です!」





「来客?……玖下?」




彼は片方の眉毛を上げると、私の後ろにいる燕尾服の男の人の姿に目を細めた。





「お久し振りです、凌様。本日はアリス様の使いで参りました」





燕尾服の彼は寿永隊長の姿に、姿勢正しく腰を折った。





「一日でデータを照合するなんてさすがだ、アリスさん。とりあえず、入れ」





寿永隊長は彼──玖下さんを招き入れると応接室ではなく、執務室へ通した。




私はとりあえず放置していた紅茶の様子を見て、運よく丁度いい蒸れ具合だったから二人分ティーカップに注いだ。





そして、ソファーに向き合って座る寿永隊長と玖下さんの前に置いた。






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