紅の葬送曲
「菖、頼みがある」
翔鷹の施設の廊下を進みながら菖に声をかける。
「はい?」
「小鳥遊警視総監に早急に辞令を交付してもらうように頼んでくれ」
「え?」
「そして、お前は今日から俺の補佐官じゃなくなる」
菖の動揺が伝わってきた。
「補佐官じゃなくなるだけだ。付き人なのには変わりない」
菖はグッと唇を噛むと、小鳥遊警視総監に連絡を取り始めた。
すると、江が俺の脇腹をどついてきた。
肘が綺麗に脇腹に入ったものだから「うっ……」と呻いてしまう。