紅の葬送曲


「甘やかすな、玖下」




「年の離れた妹は可愛いんだよ。あ、紅緒って呼んでも良い?」




「あ、はい……」




「じゃあ、僕のことはお兄ちゃんって呼んでね。敬語もなしね」





玖下さんもといお兄ちゃんの圧力に負け、私は頷く以外に出来なかった。





「……おい、用が済んだならさっさと帰れ。依良さんに叱られるぞ」




いい加減仕事に移りたいらしく、寿永隊長は頬をひきつらせながらお兄ちゃんを睨んだ。




寿永隊長……、立ち位置的には貴方の方が上でしょうけど、お兄ちゃんは一応年上なんだから言葉遣いを気を付けましょうよ……。




ぞんざいな扱いをされているお兄ちゃんだけど彼を注意したりはしない。




「はいはい、帰りますよ。ただ、可愛い妹に一言だけ言わせて」




私に一言?




何だろう?





私は優しい笑みを浮かべるお兄ちゃんをじっと見つめた。




そして──。





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