紅の葬送曲


「……何の為に生まれてきたかなんて考えなくて良い。死にたいなんて思わなくて良い。愛されてない、守ってくれる人なんていないなんて思わなくて良い。君はちゃんと愛されてるし、守られてるんだから」





お兄ちゃんの言葉がストンと胸に落ちてきた。




何で私が悩んでたことを分かっているのだろうか?





「また会おうね、紅緒」




お兄ちゃんは私の頭を撫でると寿永隊長に頭を下げて、執務室を出ていった。





「やっと帰ったな……。おい、浅井、お前も仕事に──何故、泣いてる?」





寿永隊長は驚いたように目を見開いて、私を見ていた。





涙が溢れて止まらない。





理由は分かってる。





私は誰かにそう言ってもらいたかったんだ。





生きていることを否定されず、愛され守られているということを。





「すみません……。すぐに泣き止むので……」





涙を堪えるようにしゃがみこんで顔を膝に押し付ける。










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