紅の葬送曲


「まーた浅井ちゃんってば凌にいじめられてるし」




「寿永隊長は他人にも自分にも厳しい人だからな」





泣き目になる私をよそに、小鳥遊姉弟は呑気にダンベルを持ち上げている。




「寿永隊長!あの二人は注意しないんですか!?」




指を指して告げ口すると、彼は鬼の形相で小鳥遊姉弟の方を見た。





「菖、江!真剣にやれ!」




とばっちりを受けた二人は「げ、とばっちり」、「私はちゃんとしてました!」と騒いでいた。




此処は翔鷹地下にある訓練施設。





デスクワークや出動がない限りは此処で筋トレや狙撃練習を行っている。





訓練施設は三名家が援助して作っただけあって本格的なもので、無いものが無いというくらいの設備が整っている。





すると、ドアがノックされる音がした。




「失礼します、寿永隊長。皆さん、着きましたよ」




開いたドアから現れたのは知栄さんで、来客を伝えてくれる。




皆さん?






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