紅の葬送曲
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「わざわざ来たのは俺の拳骨を貰いに来た訳じゃないよな?」
苛立つ寿永隊長に紅茶を出してからソファーに座る四人にコーヒーを出す。
四人は一発ずつ彼から拳骨をもらい、頭に綺麗なコブが出来ている。
「だって、寿永隊長!矢賀っちが──」
「……だって?」
「も、申し訳ありません……ッ!」
神原さんは寿永隊長に睨まれ、縮こまった。
私はデスクにいる小鳥遊姉弟の所に行くと、二人にもコーヒーを出した。
「あの四人は変わらないな。まったく……、神原さんはいつまで寿永隊長の補佐官になろうとしているんだか……」
「神原さんは凌のことが大好きだからね。それで、それが気に入らない矢賀さんが凌の補佐官にちょっかい出すんだよ」
小鳥遊姉弟は四人とは接点があるらしく、このやり取りは今に始まったことでは無いようだ。
「……本題に入るぞ。お前達を呼んだのは紅斗の仲間がお前達の支部の翔鷹に潜り込んでいると諜報課から報告を受けたからだ」
紅斗の仲間が翔鷹に?
でも、紅斗の仲間が入り込んでるなら最近入った隊員を疑えば良いんじゃないの?
「最近入ったうちを含め、他の三人の所に入隊した隊長はいない」
そう思っていたのは私だけではないらしく、楠さんがそう口にする。