紅の葬送曲


すると、寿永隊長は口角を持ち上げて笑った。




「幽霊か……、面白いな。でも、その侵入者はちゃんと足のある人間だ。……どんなに上手く化けても、こびりついた血の匂いは取れないものだな」




意味深な言葉に、その場にいた人は皆頭を傾げる。




今の寿永隊長の言葉……。





まるで、此処にいる人の中に侵入者はいるような口振りだ。





「おっと忘れていたな。お前達、アレは持ってきたか?」






寿永隊長の言葉で四人は持っていた鞄からノートサイズの封筒を取り出した。




そして、中身の書類を取り出すとテーブルの上に置いた。




「……持ってるだけで呪われそうだよな、これ」




矢賀さんが置かれた書類を見て、不愉快そうに顔をしかめる。




それが何なのか気になり、テーブルを覗き込むと喉の奥から何かが込み上げてきて、反射的に口を押さえた。






それは真っ黒な紙に赤い文字とイラストで記された人の殺し方だった。






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