紅の葬送曲
Ⅱ
翌日。
近くの河川敷で身元不明の遺体が発見された。
体格的に女性で、残忍な殺人方法という事で翔鷹も現場に向かった。
「酷い……」
女性の遺体は体中打撲や切り傷、裂傷で覆われ、爪も剥がされていた。
これは殺人というより拷問された後に殺された……と取った方が……。
でも、おかしい。
もし、これが紅斗達の仕業ならお腹が裂かれて、子宮が潰されているはずだ。
それなのに、この遺体はそれらの形跡がない。
それにこの被害者の雰囲気……、誰かと似ている。
顔が切り傷と打撲で腫れ上がっているから分からないけど、誰かに似ている。
「くそ……」
ふと、寿永隊長の悔しそうな声が聞こえた。