紅の葬送曲
「……さて、お前には聞きたいことが山程ある。話さないならこちらもお前達と同じような手を使わせてもらう」
拷問は法律で禁止されている。
でも、此処は国を統べる三名家の保護下。
法律なんてものはあってないようなものだ。
俺は女に近付くと、髪を鷲掴みにして顔を上げさせた。
──と思った、次の瞬間。
女の顔が誰かの足によって蹴られ、俺の手から離れた。
「なっ!?」
柄にもなく驚いた俺は足を繰り出した人物を見上げた。
そこにいたのは浅井で、感情が消え失せたような顔で女を見下ろしていた。
「浅井……?」
浅井は俺の声が聞こえていないかのように女だけを見つめていて、痛がる女の髪を掴んだ。