紅の葬送曲
琉ちゃんは清瀬さんを睨み付けると、私の顔を覗き込んできた。
「どうした?もしかして、初日から何かミスしたか?」
「ミスなんてもんじゃないよー!」
「は?」
これだったら、仕事のミスの方がまだましだ。
仕事のミスなら場合によっては退職という選択肢がある。
でも、これは退職に加えて国外追放される危機がある。
もうどう考えてもプラスにはならない。
「私、警察辞めさせられちゃ──」
「いつ誰がそんなことを言った?」
私の言葉を遮るように、低い声が重なった。
この声は……。
壊れたおもちゃのように振り向くと、悲鳴が私の口を引き裂いた。