紅の葬送曲
Ⅲ
よく晴れた4月の終わり。
菖蒲の花が咲き始めた斎場で、小鳥遊さんの葬儀が行われていた。
検死の結果、小鳥遊さんは体中の骨が折れ、内臓も破裂していたり、骨が刺さっていた。
死因は内臓破裂と舌を噛み切ったことによる失血死。
小鳥遊さんは殺されたのではなく、自ら命を絶ったのだった。
「小鳥遊さん……」
棺の中で眠る彼女は死化粧で綺麗に整えられていて、本当に息をしていないのかと疑ってしまうほどだった。
私は溢れそうになる涙を堪えると、隣で棺を静かに見下ろす寿永隊長を見上げた。
翔鷹の正装は軍帽を被ることになっている。
その軍帽で彼の顔はよく見えない。
でも、部下が……信頼していた付き人が死んだのだから何も感じないはずがない。