紅の葬送曲
「奴らだけが言うなら信じられないが、菖もそう書き遺している。信じるしかないだろうな……」
寿永隊長は顔に腕を乗せたまま答えてくれた。
……彼は自分を責めているのだろう。
自分が命じた任務で小鳥遊さんが命を落としてしまった。
自分が命じなければ死ななかった……。
そう思っているんだと思う。
小鳥遊さんが亡くなったのは寿永隊長のせいじゃない。
私は寿永隊長が寝転がるソファーの脇に膝をつくと、彼の頭を撫でる。
「……何の真似だ?」
顔に乗った腕を退けることなく、彼は問うてくる。
撫でている理由は自分でも分からない。
でも、こうでもしないと彼は人に甘えない気がする。
本当は泣きたいはずなのに一人で全てを背負い込んで、苦しんでいる。
そんな彼だからこそ小鳥遊さんは──。