紅の葬送曲
彼の全てを支えられる人はこの世にはもういない。
私が強ければ、彼はもっと私を頼ってくれたかもしれない。
でも、今の私は弱いままだ。
弱いから自分の中の≪弱さ≫に負けてしまった……。
何で私はこんなにも弱いんだろう?
負けたくない、弱い自分に。
強くなりたい、小鳥遊さんの代わりを務められるくらいに……。
「浅井」
ふと、顔に乗せていた腕を退けた寿永隊長は赤くなった目で私を見ていた。
「お前に菖の代わりは無理だ」
心を読んだかのような寿永隊長の言葉に、私は頭を撫でる手を再び止めた。
私では小鳥遊さんの代わりは無理──。
その言葉は胸に深く突き刺さった。