紅の葬送曲
Ⅰ
──誰か私を助けてください。
私の目の前にはハンガーにかけられたパーティードレスが何着もある。
それも、値段が5桁以上は確実にするモノばかりだ。
「んー、こっちかなー?いや、こっちかな?」
私にそのパーティードレスを当てては頭を捻り、当てては捻るのは友人の京。
「あのー、京さん?私は貴女の着せ替え人形じゃないんですけど?」
「いや、こっち!いや、でもなー」
「……聞いてないし」
私は話を聞いていない京に自然とため息が出た。
京がパーティードレスの前で頭を捻ること早一時間半。
私はもう飽きてしまっていた。
「私、もう何でも良いよ……」
飽きてしまってボソッと呟くと、さっきまで聞く耳を持たなかった京が目を光らせて私を見てきた。