紅の葬送曲


アンジェロ・アッヘンヴェル、お前のことだからその向こうで俺達の様子を探っているだろう。





なら、宣戦布告を聞いただろう?




《Sieht süß aus, wirst du schmerzhafte Augen sehen》は日本語に訳すと《甘く見てると、痛い目を見るぞ》。





その言葉の通り、お前には痛い目を見せてやる。




お前達の崇め讃える神を蘇らせたりなんかしない。





でも、彼女と紅斗、玖下を死なせない。




俺が彼女や玖下はともかく、紅斗を死なせたくないと思うなんて自分でも意外だった。




紅斗が死ねば、彼女が悲しむ気がした。





彼女が悲しむ姿はもう見たくない。




「……切碕復活にはもう時間がない。安倍明晴の動きには警戒しないとな」





俺は椅子を回転させると、大きな格子窓の向こうの青空を見上げた。




俺はあと何回この青空を見られるのだろうか?




それは残り少ないかもしれないが、その時を迎える時はこんな青空であれば良いと思った。




贅沢な願いかもしれない。




それでも願ってしまうのは俺が死にたくないと思っているからのかもしれない。



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