紅の葬送曲
生きて、彼女や仲間や家族に囲まれていたい──。
それが贅沢な願いで叶わない願いだとしても、俺はそう願ってしまう。
そう願うようになったのは彼女と出逢ってからだ。
俺は彼女を守りたい。
でも、もし、紅斗との約束が守れず、彼女ではなく人々の命を優先し、殺さなくてはならなくなったときこの感情は邪魔だ。
その時が来たらその感情を噛み殺し、彼女を殺す。
……本当に邪魔な感情だ。
俺は彼女を守りたい……。
──上司や仲間としてではなく、一人の女として。
この邪魔な感情が恋だというならあまりにも残酷だ。
俺は死ぬし、もしもの時に彼女を殺さなくてはならない。
恋することはこんなにも残酷なことなのだろうか……。
失わなければならないのが、恋なのだろうか──?
≪凌side end≫