紅の葬送曲
頭の中で浮かんだ言葉に、私は思い切り頭を左右に振った。
無い無い無い、それは無い!
うん、無い!
そう自分に言い聞かせていると、突然肩に重みを感じた。
「ひ、寿永隊長!?」
顔を左側に向ければ、すぐ目の前に彼の顔がある。
──彼は隣に座り、私の肩に寄り掛かっていた。
何々何々、この少女漫画みたいな展開は!?
何で急にこんな展開に──。
「……疲れた、少し肩を貸せ」
寿永隊長は私の方を見ることなく目を閉じながらそう言った。
そうか!疲れてるからか!
寿永隊長は私なんかより多くの仕事をこなしているし、今も寿永の人間として翔鷹の隊長として忙しそうだった。
疲れてるからこんな風に少女漫画みたいな展開なんだ!
「分かりました。しばらく大人しく肩を貸してます」
そう言うと、彼は楽しそうに笑った。