紅の葬送曲


「ククク……大人しく肩貸してるとか……」




あれ、寿永隊長ってこんなに笑う人だったっけ?




そんな疑問を感じていると、肩に彼の髪が触れた。





「やっぱり、赤紫色似合ってるな……」




譫言のように呟いた彼の言葉に、また胸が高鳴る。





胸の音が聞こえてしまわないか心配すると、それはその心配に反応するかのように更にうるさくなる。





聞こえてませんように……。





すると、寿永隊長の静かな寝息が聞こえた。




え、肩を貸せって疲れたから寝るため?




私はまさかのことに驚いて、寿永隊長の顔を覗き込む。





黒髪の隙間から覗く穏やかな寝顔に、動いてはいけないという使命感が浮かんだ。





……それにしても、綺麗な男の人だなぁ。





黒髪に一重のつり目、縦にスッと通った鼻筋に形の良い唇、シャープな輪郭。




鍛え抜かれた体は華奢に見えてしっかりしていて、身長も女子の平均的な身長の私より頭一つ半くらいは高い。





こんな綺麗でしっかりした性格の年下の男の人がいるなんて思っても見なかった。







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