紅の葬送曲
「……そう。なら、さっさと言うことの聞く息子の所に戻ったらどうです?」
寿永隊長だって、本当は操様に自分自身を見て欲しいはずなのに……。
「そうするわ。本当に汀は良い子よ、貴方と違ってね」
そう言い残して操様はその場から去って行った。
「そんなことわざわざ言わなくても知ってる。俺と比べる方が間違ってる」
寿永隊長は苛立ったように頭を掻くと、私の方を見た。
「お前は何も言われてないか?」
「はい。むしろ、寿永さんの死に関して濡れ衣を着せてしまったことを謝罪して頂けました」
「あの人が?お前、あの人に毒されたか?」
寿永隊長の言葉に、私はムッとした。
「毒された?」
「あの人が他人に謝罪するわけがない。何せ、あの人は──っ痛!?」
私は寿永隊長の言葉に腹が立って、彼のお腹にパンチする。
鳩尾に入った気がするけど、気にしない。