紅の葬送曲
何だろ、胸がざわついている。
胸を押さえると、いつの間に現れたのか芦葉さんが私の隣に立っていた。
「ねぇ、浅井さんの近くに女の子の霊がいるけど知り合い?」
「っ!?お、女の子?」
え、私の隣に女の子の霊がいるの!?
私は違う意味で胸がざわついて、隣を見るけどそこには誰もいない。
あ、そうだ!芦葉さんは命を落とす前の人の魂が見えるんだった!
「うん、焦げ茶色の長い髪の女の子。多分、君と同い年くらいで八重歯が特徴の子」
焦げ茶色の長い髪の同い年の八重歯の女の子……?
私には一人思い当たる人物がいた。
でも、信じたくない。
それなのに──。
「警察の官舎で殺人事件だ。恐らく安倍明晴の仕業で被害者の名前は香西京、交通課所属の俺達の同期だ」
小鳥遊君の言った名前に、私は頭が真っ白になった。
焦げ茶色の長い髪の八重歯の女の子──それは私の親友の特徴と同じ……。
──そして、被害者の名前も親友の名前だった。