紅の葬送曲
「美味しい……」
「そうか。なら、良かった」
寿永隊長は私のいるソファーに寄りかかると自分の分のミルクティーを飲んだ。
多分、彼は私を励まそうとしてくれているのだろう。
彼の優しさに、私は自然と思っていることを口にした。
「……京とは中学からの親友なんです。何をするのも一緒で、高校も警察学校も一緒でした」
彼は何も言わない。
「毎日くだらないことで笑って、悩んでいるときや悲しいときはいつも傍にいてくれたんです……」
私の傍にはいつも京がいた。
京がいなかったら私は此処にいないといっても過言ではない。
「京はいつも私を助けてくれた……。それなのに、私は京を助けられなかった……」
ティーカップを持つ手に涙が落ちた。
弱い自分が嫌いだ。
誰も助けられない自分が嫌いで仕方ない。
私は親友ですらも守れなかった……。
「京は……私と出会わなければ死ななかったかもしれない……。何で……何で私の周りでばかり人が死ぬの……っ!?」
ティーカップを両手で握って、私は体を前に折った。