紅の葬送曲
「人が人の命を終わらせる……そんなことがあって良いとは思わない。でも、自分で自分の命を終わらせることもあって良いとは思わない」
人に殺されることは怖い。
でも、自分で自分を殺すことも怖い。
怖くないはずがない。
それなのに、小鳥遊さんは──。
「……俺も未だに思うよ。菖は俺に出会わなければ死なずに済んだかもしれないって。あんな死に方をしなくて済んだかもしれないって……」
彼の言葉が鉛のように重く感じた。
もしかしたら、彼は未だに小鳥遊さんの死を自分のせいだと思っているのかもしれない。
寿永隊長のせいじゃない──。
そう言おうとして、私はその言葉を飲み込んだ。
今の私がそんな言葉をかけたところで何の説得力がない。
多分、彼もそれを望んでいるのは思えない。
でも、無意識に出た言葉は──。
「私達、馬鹿ですね……」
だった……。
私と彼は似ている。
でも、似ていないようにも感じる。