紅の葬送曲


私は弱いけど、彼は強い。




力とかそういうのじゃない。





彼は守れなかった人の死を受け入れたくなくても受け入れ、前を向いている。





死を引き摺りながらも、後ろを振り返りながらもまっすぐ歩いている。





その人の想いを背負いながら。




「お前と一緒にするな……」




寿永隊長は苦笑混じりにそう呟いた。




彼の苦笑いを浮かべる横顔を見ると、自然と私も苦笑いを浮かべてしまう。




目から残っていた涙が零れた。




京、私がちゃんと京を殺した人を見つけるから……。





絶対仇を討つから……。





──でも、京を殺した人物。





その人物はすぐ近くにいた思ってもいない人だった……。







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