紅の葬送曲


「寿永隊長、これ!」




見つけたマイクロSDカードを寿永隊長に見せると、彼は驚いたようにそれを受け取った。





「こんなに小さくて隙間にあったなら鑑識も見落とすか……。よく見つけたな」





寿永隊長は私からそれを受け取ると、官舎の事務室に向かった。





私も後を追いかける。





事務室に着くと、彼はパソコンを借りてSDカードを読み込む。





そして、映し出された情報に私は絶句する。




「ひ、寿永隊長……これって……」





私は震える声で隣の寿永隊長の顔を見た。





「……ああ。敵は余程俺を甘く見ているらしい」




寿永隊長は怒りを露にして、目の前のパソコンのキーボードを叩き壊した。





京が残したSDカードには信じたくはない情報が入っていた。





味方だと思っていた琉ちゃん──司馬琉介が安倍明晴と癒着していた……。





そんなことが記されていた。





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