紅の葬送曲
「私は京を信じます」
琉ちゃんには申し訳ないけど、あまり人を疑わないあの京が疑ったんだ。
琉ちゃんは敵……、そう思おう。
「そうか……。なら、今から起きることに私情を挟むなよ」
寿永隊長の言葉の意味が一瞬理解できなかったけど、すぐに言葉の意味を理解する。
今から琉ちゃんは翔鷹に捕縛される。
その後に、恐らく安倍明晴との関係を全て吐かせられる。
その吐かせ方は小鳥遊さんが受けた方法と同じ……拷問だと思う。
でも、私は同情しない。
もし、琉ちゃんが本当に敵だったのなら私はそう見る。
信じている人を裏切る気持ちは分からないけど、裏切られた気持ちは胸が張り裂けそうな位辛い。
それでも、京が受けた死の恐怖よりも全然辛くはないはずだ。
私は彼の言葉に頷くと、まっすぐ前を見つめた。
琉ちゃん……、何で安倍明晴なんかと癒着してたの?
何で私達を……紅斗を裏切ったの……?