紅の葬送曲
「……さて、お前には聞くことがある。答えなければ、骨を一本ずつ折る」
寿永隊長は床に押さえつけた琉ちゃんの背中に片膝をつけた。
そして、普通は曲がらない方向に腕を曲げさせる。
琉ちゃんの腕がギシリと軋んでいる。
「ちょっと凌君!琉介が何をしたの!?」
紅斗は寿永隊長に駆け寄ると彼を琉ちゃんから引き離そうとする。
が、彼はその腕を払うと、己の下にいる琉ちゃんに質問を始めた。
「お前は翔鷹の創立記念パーティーの夜、何処にいた?」
「何処って翔鷹に居残りして──」
「そうだ。でも、お前を外で見かけたと言う奴がいるみたいだが?」
え、寿永隊長?
私達は京の残したSDカードのデータは確認したけど、それ以外のそんな話をしていない。
それなのに、琉ちゃんにそんな釜をかけるようなことを聞くなんてまるで……。
「凌、もしかして、香西ちゃんを殺した犯人が彼だと思ってるの?」
小鳥遊君はデスクから立ち上がると、驚いたように寿永隊長を見た。
私も小鳥遊君と同じ考えだった。
京を殺した犯人が琉ちゃんだと思っているから彼は琉ちゃんを尋問している。