紅の葬送曲


「はぁ!?何で琉介がその子を殺すの?だって、琉介は──」





「紅斗、今はお前の意見を聞いていない。俺はコイツに聞いているんだ、お前は黙れ」




寿永隊長は冷酷な眼差しに、紅斗は押し黙る。




紅斗が黙ったのを確認すると、彼は再び琉ちゃんを見た。





「……なぁ、何故だ?早く答えないと、骨が折れるぞ」




琉ちゃんの腕を押さえる手を更に曲げるととうとう骨が折れる音が聞こえ、琉ちゃんの悲鳴が響き渡った。





「折れてしまったな。こんなことで折れるなんて鍛え方が軟弱なんだな」





寿永隊長は目を細めると、今度は琉ちゃんの手の指を掴んだ。




「ほら、早く言わないと今度は爪を剥がすぞ?……何枚まで耐えられるか見物だな」





爪を剥がされる痛みは想像を絶する痛みだろう。





寿永隊長がそこまでする理由が分からないし、琉ちゃんが話さない理由も分からない。





「ふ、ふざけるな!俺はあんたらに留守番しているように言われて翔鷹に残ったんだ、官舎の人間に見つかる訳がない!」





ようやく琉ちゃんは折れた腕の痛みを堪えながら寿永隊長の問いに答えた。





すると、寿永隊長は楽しそうにクスクスと笑い始めた。






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