紅の葬送曲
「何がおかしい?」
いや、おかしい所の話じゃない。
「琉介、今何て……」
紅斗は信じられないというような顔を琉ちゃんに向ける。
「紅斗!お前まで俺を疑うのか!?俺は翔鷹にいた、官舎になんて──ッ!?」
──ようやく、琉ちゃんは自分の失態に気がついたらしい。
寿永隊長は外で琉ちゃんを見かけたと言ったが、官舎とは一言も言っていない。
つまり……。
「……お前は翔鷹になんかいなかった。警察の官舎にいたんだろう?」
寿永隊長は深く息を吐くと琉ちゃんの耳元に顔を寄せて、
「香西京を殺したのはお前だな、司馬琉介」
そう囁いた。
琉ちゃんが京を殺した犯人……。
信じたくはない。
でも、それは真実らしい。
何せ──。