紅の葬送曲




「寿永隊長、彼のことどうする?このまま鼻も塞いで殺す?」





芦葉さんは嬉々とした顔で寿永隊長を見た。




「殺すな。それと、嬉しそうな顔をするな」




「だって、これが僕の役割だから。羽取さんや佐滝さんみたい罪人を裁くためにに僕は産み出されたんだ」





「お前はまだそんな風に思っているのか。お前が産み出されたのは──」




寿永隊長が何かを言いかけるが、彼目掛けてナイフが飛んできた。




でも、それを何処からか現れた羽取さんが弾き返した。





「楽しそうなことやってんじゃねぇか、侑吏。俺も混ぜろ」





「嫌ですよ。それより、久々に登場しましたね」





「うるせぇ。諸事情ってやつだ」





芦葉さんと羽取さんはナイフが飛んできた方向──、琉ちゃんの隣にいる人物を見ていた。





芦葉さんの術で口を塞がれた琉ちゃんの隣にはアンジェロさんがいた。





ナイフを投げたのはアンジェロさんだ。





「あーあ、計画崩壊しちゃったよ。どっかの誰かさんのせいで」





アンジェロさんは隠し持っていたと思われるナイフをまた取り出すと、琉ちゃんにそのナイフを向ける。





「このナイフで口を引き裂けばしゃべれるようになるけど、止めとくわ。さっさと逃げよう、司馬ちゃん」




琉ちゃんの腕を掴んだ彼女は窓の方へ走り出す。






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