紅の葬送曲
「……なら、奴が姉さんの仇だ」
小鳥遊君の突き刺さるような殺気が感じられた。
騙し騙され、憎しみだけが芽生えていく。
悲しいことだけど、人が自分の欲求を満たすためには避けられないことなのかもしれない。
でも、その前に──。
「あの、すみません。質問して良いですか?」
私は重くなりつつある空気に、あえてそれ無視して質問を繰り出す。
「何だ?」
佐滝さんに頭に包帯を巻かれている寿永隊長が私は睨んだ。
「いや、寿永隊長ではなく、芦葉さんにです」
「なら、誰に質問するか言え。阿呆」
そう言って寿永隊長は私の頭を小突いた。
芦葉さんは「僕?」というように人差し指で自分を指差して、私に近付いてきた。
「何かな?浅井さん」
そして、私の前に来るなり、こてんと頭を傾げる。
うん、何で翔鷹の人達はこういうイケメンがしたらときめいてしまうようなことを平然とするのだろうか?
……まあ、私は別にときめかないけど。
「貴方が羽取さん達と同じだと言うことは分かりました。ですが、何で紅斗と知り合いなんですか?」
≪作られた人間≫は厳重な監視下のもと育てられ訓練され、刑罰執行に駆り出される。
それなのに、何で15年前に紅斗と会っているのだろう?
15年前ならまだ彼は監視下のもと育てられている時期のはずだ。