紅の葬送曲


俺達五人はあの兄妹に会話の機会を与えるために翔鷹を出て、近くの喫茶に来ていた。




でも、凌的にはあの二人を二人にはさせたくないらしい。





何せ、凌は独占欲が強いからね。




「凌、あんまり独占欲が強いとフラれんぞ」




パンケーキのイチゴをフォークに突き刺した羽取さんはにやにやと笑いながら凌を見ている。





「羽取さんこそ、そんな無神経なことばかり言っているとモテませんよ」




「うっせぇ!ったく、お前は本当に周さんの子供か?ひねくれすぎだろ」





「ええ、紛れもなく」





羽取さんの言葉を興味無さげに言い捨てた凌は注文した紅茶を啜った。




すると、隣の席の女性二人組がこっちを見てこそこそと話しているのが聞こえる。





「隣の五人組、皆かっこよくない?特に今紅茶飲んでる人!」





「確かにモデルみたい!声かけてみる?」





そんな会話が耳に入ってくる。





確かに凌は端麗な容姿をしていて、凌より整った容姿をしてる男は見たことがない。




整った容姿に加え、頭脳明晰にスポーツ万能。





家も皇族の次に権力があるとされる日本を牛耳る名家の寿永家。





漫画に出てくるような完璧な男……、それが凌だ。







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