紅の葬送曲
普通なら喜ぶべきかもしれない。
何せ、この国で最強と言われる翔鷹の制服だ。
憧れるだけでは着れるものではない。
でも、私は嬉しくなかった。
私がなりたかったのは警官であって、翔鷹じゃない。
だけど、もう私に拒否権はない。
だったら、もう自分の運命を受け入れるしかない。
「重いですね、この制服……」
決して重くはない制服を握り締めて呟くと、寿永隊長は目を細めた。
「……それが俺達が背負う覚悟の重さだ。君にも背負ってもらうぞ、浅井紅緒」
背負わなくてはならない覚悟。
それを私はちゃんと背負えるのだろうか……?