紅の葬送曲
「近付いては危険です!離れてください!」
そう言っても寿永隊長が爆弾に近付くものだから、私も後を追いかけて爆弾に近付く。
「大丈夫だ、この爆弾の仕掛けは単純。このコードさえ抜いてしまえば起爆しない」
寿永隊長は爆弾を覆うプラスチックのカバーを外すと、中から出てきたコードを抜いた。
時間を刻んでいた時計が残り1分のところで止まった。
──が、その爆弾とは違う場所から『ピッ』という機械的な音がした。
それを私も寿永隊長も聞き逃さなかった。
聞こえたのは古ぼけた鳩時計からだ。
鳩時計の秒針は動いていなかったはずなのにさっきの機械音と共に動き出し、鳩がピョコンと飛び出してきた。
『爆発まであと10秒!9!8……』
爆発までのカウントダウンが始まった。
「逃げろ、浅井!」
寿永隊長は私の手を引いて手近の窓に近付いた。
『……5!4!3!2!1!ゼ──』
カウントダウンが0を告げようとしたその瞬間、
「お前は生きろ」
私は寿永隊長に窓から下に落とされた。