紅の葬送曲
Ⅲ
それから制服に着替えた私は寿永隊長の口から衝撃的なことを聞かされる。
「警察の官舎から出ろってどういう意味ですか!?」
「言葉の意味のままだ」
寿永隊長はデスクの椅子に座りながら、何やら書類を書いている。
警察の官舎には数日前に引っ越したばかりで、荷物も昨日ようやく片付け終えたところだ。
それなのに、出ろとはどういう要件だろうか?
「第一、官舎から出たところで何処で生活すれば良いんですか!?」
警察学校に寮があり、卒業後も官舎があるからお父さんが死んでから一人で暮らしていたアパートは既に引き払ってしまっている。
どうしろというのだろう?
すると、彼は呆れたようにため息を吐くと、走らせていたペンを止めた。