紅の葬送曲
《アリスside》
約20年前──。
「アリスさん、この二人が切碕の最後の子供達です」
和泉が視線を向ける方には保育器があり、中には生まれたばかりの男女の双子の赤ちゃんがいる。
天河と切碕が死んで半年。
まさか、切碕の子供が摂紀以外に存在するとは思っても見なかった。
しかも……。
「出産を担当した医師によると死亡した母親は最期に切碕の名を呟いた。そして、DNA鑑定の結果、切碕の子供と断定。双子の片割れ……男児の方は両目が赤いそうです」
両目が赤い……。
それは正しく私が誰よりも憎い男の血を引いていることに間違いなかった。
私は双子の赤ちゃんがいる保育器に近付くと、顔を覗き込む。
そして、絶望した。
その男女の双子は遺伝子の関係上似ていないはずなのに、双子の面影は父親である切碕に瓜二つだった。
この双子は切碕の子供……。
必ずしも摂紀のように殺人思考を持つとは限らない。
でも、この双子は天河と和真の……。
約20年前──。
「アリスさん、この二人が切碕の最後の子供達です」
和泉が視線を向ける方には保育器があり、中には生まれたばかりの男女の双子の赤ちゃんがいる。
天河と切碕が死んで半年。
まさか、切碕の子供が摂紀以外に存在するとは思っても見なかった。
しかも……。
「出産を担当した医師によると死亡した母親は最期に切碕の名を呟いた。そして、DNA鑑定の結果、切碕の子供と断定。双子の片割れ……男児の方は両目が赤いそうです」
両目が赤い……。
それは正しく私が誰よりも憎い男の血を引いていることに間違いなかった。
私は双子の赤ちゃんがいる保育器に近付くと、顔を覗き込む。
そして、絶望した。
その男女の双子は遺伝子の関係上似ていないはずなのに、双子の面影は父親である切碕に瓜二つだった。
この双子は切碕の子供……。
必ずしも摂紀のように殺人思考を持つとは限らない。
でも、この双子は天河と和真の……。