紅の葬送曲
──そして、20年の時が経った今。
その双子達は成長し、私の目の前にいる。
男児──紅斗君はやっぱり切碕に似た顔をしていて赤い目をしているけど、中身は天河に似ているような気がした。
女児──紅緒ちゃんは切碕に雰囲気は似ているけど、まだ名前を与えられていない頃の切碕に似ている気がする。
色々あって一度は生き別れになってしまったみたいだけど、今は共にいる。
でも、片割れの紅緒は──。
「死にたいと思うなら死ねばいい。でも、それがどれだけ贅沢だって分かってる?」
凌君が行方不明になった責任が自分にあると気を病み、死にたいと願っていた。
この子は死にたいと思うのがどれだけ贅沢なのか分かっていない。
生きたいのに生きれない人がいる。
生まれてくることを望まれず、生まれる前に命を奪われる人だっている。
それなのに、この子は生まれてきたことを……生きてきたことを悔やんでいる。
「……君がそんなこと言ってたら、君達を助けて死んだ周や行方不明になった凌君がやったことが間違いだったことになるんだよ」
私は窓際の壁に寄りかかると紅緒ちゃんを睨み付ける。