紅の葬送曲
Ⅱ
その日の午後。
「やっほー、紅緒ちゃん!遊びに来たよー」
仕事に復帰し、執務室で雑務をこなす私の元に詩依さんと志摩さんが尋ねてきた。
寿永隊長がいないことを良いことに、志摩さんは勢い良くノックもなしにドアを開ける。
そんな彼女の姿に、羽取さんが呆れたようにため息を吐いた。
「志摩、お前はだんだんアリスに似てきたな。少しは和泉に似ろよ」
「やだなー、才暉さん。足の形はパパにそっくりだよ」
「俺が言ってるのは性格のことだ。この天の邪鬼め」
羽取さんと志摩さんがそんなやり取りをしているよそで、紅斗が詩依さんに挨拶をしていた。
「初めまして、紅緒の双子の兄の紅斗です」
「こちらこそ、初めまして。蓬條詩依と言います」
お互いに頭を下げる二人は妙に和んでいる。